• 開発

  • UI/UX

株式会社Carelogy様

担当領域:UI/UXデザイン 改善 /一部開発

開発規模:デザイナー1名 / 3ヶ月

画面数:30画面程

【企業インタビューvol.7】株式会社Carelogy様インタビュー

〜AI×デザインで猫を見守る。世界30万ユーザーが利用〜

Engineerforceでは株式会社Carelogy様が展開する猫の総合飼育支援サービス「CatsMe!」のリニューアルに伴い、デザインを担当させていただきました。
今回は株式会社Carelogy様より崎岡様(以降、敬称略)のお時間を頂戴し、弊社代表飯田からデザインを担当した弊社の平野を含めた2名にこれまでの取り組みや成果、今後の展望についてお話を伺いました。

飯田:
本日はお時間を頂きありがとうございます。この「CatsMe!」のTシャツ可愛いですね。

崎岡:

ありがとうございます。

飯田:

ではまず現在の事業内容について改めてお伺いしてもよろしいですか?

崎岡:

簡単にお伝えすると、写真をアップロードするだけで猫の表情を分析するAIが搭載された、猫の総合飼育支援サービスのようなものを展開しております。

猫の総合飼育支援サービス「CatsMe!」のサービスロゴ

飯田:
ちなみにどのような経緯でその事業を始めようと思ったんですか?前職と全然違いますよね。

崎岡:

そうなんです。前職は元々クロスボーダーM&Aという、海外と日本の企業買収を主に担当するような仕事で、全く関係なかったんです。
今弊社でCTOを務めている医師が私の中高の友人で、今の医療のアナログな部分をデジタルに変えようということで一緒に起業しました。

ただ、人間の医療はレギュレーションが厳しくて、なかなかできないことが多すぎるなということで苦戦している中、たまたま日本大学の獣医学科の教授と知り合って、「実は猫ってめちゃくちゃ課題があるよ」と聞いて。
それで「じゃあやってみよう」と始めたんです。

飯田:

なるほど。特に猫好きだから猫を選んだわけではないんですね?

崎岡:

猫派ではありますね。実は面白い例を申し上げますと、犬の場合、飼い主の90パーセント以上が年に1回以上動物病院に行っているんです。ところが猫の場合は、飼い主の33パーセントが年に0回、残りの30パーセントが1回しか行かないという露骨な差があって。
実は大きな社会課題があるんじゃないかと。

Twitterなどを見ていても猫が突然死したという投稿が結構出てきます。これは社会課題だなと気づいて、「じゃあ猫をやろう」という感じです。

飯田:
そういうことなんですね。今は猫のAIサービスをやっていらっしゃいますが、そこから他の動物などにも展開していく予定なんですか?

崎岡:

はい、もちろん他のペットへの展開も視野に入れています。また、我々のナンバーツーが医師なので、医療機器メーカーさんとジョイントベンチャーを起こすなど、かなり幅広いビジネスを展開しようとしています。

飯田:

なるほど。グローバルにも使われているんですよね?

崎岡:

そうです。一応ユーザー数は全世界30万人ぐらいおりまして、そのうちの16万人が日本、14万人が海外です。中国エリアだったり、東南アジアではフィリピン、あとはドイツやフランス、アメリカなど、様々な国でユーザーの規模が大きくなっています。

飯田:
どうやってそんなに広がったんですか?

崎岡:

正直、わからないんですよね(笑)。メディアとかである程度取り上げていただいたのは多いんですけど、我々日本語でしか情報を出していないので、本来なら届くわけがないんです。
でも、なぜか届いたので「じゃあいいや」という感じで。

当時はアプリですらなくて、ただのウェブページだったんです。それでもめちゃくちゃ広がって、「これはニーズがあるな」ということで資金調達して、アプリ開発に投資し、今に至るという感じです。

飯田:

MVPからプロダクトマーケットフィットまでのスピード感がすごいですね。
ニーズがあって使われるというのは素晴らしいことです。

崎岡:

TAM(Total Addressable Market:全体の市場規模)の観点で言うと、日本国内で猫が大体900万匹ぐらいいるんですけど、全世界では6億匹いるんです。日本人の人口の4倍以上というのを考えると、相当大きな市場ですよね。

株式会社Carelogy 代表取締役CEO・崎岡様

飯田:
確かにそうですね。
今回はUXデザインを改修していくという話があったと思うんですけど、その背景について教えていただけますか?

崎岡:
先ほど申し上げたような、MVPからある程度プロダクトに育てていくタイミングで、ユーザーからのフィードバックがかなりありました。「使いにくい」とか「可愛くない」とか「怖い」とかいった声が多かったんです。

例えば、写真をアップロードしたら急に「痛みあり」っていうのがAI診断でドライに出てきて、「うちの猫、死ぬの?」みたいな反応になってしまって。その診断結果自体は正しい情報なんですけど、それを冷静に受け取ってほしいんです。不安になってほしいわけじゃなくて、「見守っていきましょう」というメッセージを伝えたかったんです。

そこで、AIのドライさをUIやデザインの力で緩和したり、ユーザーの粘着性を高めるために親しみやすいデザインに変えることで改善を図りたいと考えました。

飯田:

なるほど。平野さんは楽しそうにデザインされてましたが、特に意識された部分はありましたか?

平野:

そうですね。「怖さ」を改善したかったのですが、あまり可愛さだけを押し通しすぎると逆に怪しく見えてしまう。そこで、ユーザーが使いやすく、かつ可愛い印象を与えられるようにというところをずっと意識しながら作っていました。

飯田:

グローバル展開しているプロダクトということで、海外視点みたいなところも考慮されたんですか?

平野:

はい、そこは非常に難しい部分がありました。何度も議論させていただいたと思うんですけど、例えば中国では「チェックマーク」が「マル」と同じような認識だったりと、グローバルでは違う解釈になることが多くて。そういった部分は結構議論を重ねながら進めていきました。

飯田:

世界共通じゃないんだって気づきますよね。色使いもそうですし。

先ほど「怪しさが」という話がありましたが、Carelogyさんが怪しさを払拭するために意識されたことはありますか?

崎岡:

ここはまさに、御社と弊社のAI技術の掛け合わせだと思っています。我々が持っているAIの技術は世界でも最高峰レベルだと自負していて、それをユーザーは触れば必ずわかるんです。その精度の高さを、不安やネガティブな感情に結びつけないような設計を心がけました。

飯田:

なるほど。

崎岡:

面白いのは、ユーザーの行動パターンです。我々のサービスを見たら、必ず何枚か画像をアップロードするんです。
その時によく使われるのが、病院から帰ってきた時の写真だったり、病院に行く直前に家族LINEに送っていた「最近調子が悪いんだけど」という写真だったりします。そうすると、ほぼ「痛みあり」という結果が出て、「これ当たってる」となるんです。

で、退院して1週間ぐらいで痛みだしてくるので、「今はどうなんだろう」という気持ちが再度湧いてAI診断をやってみる。そのネガティブな結果を受け入れる準備ができた時に、デザインの力で緩和してあげる。
UXの中でその驚きがあり、安心があるという流れを実現したかったんです。

飯田:

ユーザーとして触ってみたら本当にこれ精度高いんだっていうのが手にとってわかりますね。

崎岡:

認知度を上げるためにも多少キャッチーである必要はあると思っているのですが、触ったらわかるんですよ。猫を飼ってらっしゃる方に我々のサービスを話すと、ほぼ100パーセントの方がやってみたいと仰ってくれますね。

多分そのやってみたいの気持ちって、私たちに対しての信頼ではなくて、面白いからなんですよね。なんか面白そうだからとか、怪しいに限りなく近い感情なんですよ。
それを信頼に変えて、安心に変えるというイメージですね。

飯田:

なるほどですね。デザインを拝見していて思ったのですが、InstagramなどのSNSとの連携も今後考えていらっしゃるんですか?

崎岡:
やりたいですね。相性はすごくいいと思っています。

飯田:
Instagramの投稿写真が自動で「CatsMe!」に投稿されるとか良さそうですね。

崎岡:
それも良いのですが、一つだけ難しいところがあって。Instagramにあげられる写真って「可愛い私の猫」なんです。それにネガティブな判定が出るとユーザーが嫌がるんです。ユーザーは心の準備をしてから結果を見たいので、そこを直接つなげるのは難しいですね。

どちらかというと、「痛みなし」で、私がこんなに頑張って日々のお世話、見守りをちゃんとしていますよ、ということがInstagramで発信できるようになれば面白いなと。
つまり、「CatsMe!」での確認が先にあって、その後にInstagramという流れがいいかなと思います。バイラル効果も高められると思います。

飯田:

確かにそれはおっしゃる通りですね。人間に置き換えたら、まさにそうですよね。可愛いと思って投稿した写真に「胃がおかしいでしょ」って言われても…

崎岡:

そうなんです。
私たちのサービスを通して、日々見守る意識が芽生えることが大切なので。必要ないと思うユーザーもいると思うんです。「うちは健康だから」みたいな。でも、そういった健康な猫の飼い主さんも私たちの「CatsMe!」を使うという選択肢を持っている。それが医療市場におけるワンランク上の状態だと思うんです。使うかどうかは別として、誰でも高度な医療技術にアクセスできる

飯田:

素晴らしいですね。
ところで、デザインの部分がとてもキャッチーで可愛らしく、デザインへの思いも強いと思うのですが、その中で弊社を選んでいただいた理由はありますか?

崎岡:

ちょっと生々しい話ですけども、結構相見積もりを取らせていただいていて。色々お話させていただいた中で、プロダクト制作に対して楽しんでくれそうだなと思ったのが一番大きかったです。

平野さんと初回のミーティングの時にお話させていただいたんですけど、面白い、楽しいという感情が絶対出るので。特にtoCのサービスはそうなんです。toBはぶっちゃけ業務に関わることが多いのであまり感情というのが出ないんですけど、toCは本当に心が見えるので。デザイナー自身が、我々もそうですけど、開発を楽しんでやっているというのがユーザーに伝わるんですね。なので、そこをめちゃめちゃ意識したかった。そこを選んだという感じです。だから価格は一切気にせずに。

飯田:

初回のミーティングの時、楽しかったですよね。

平野:

面白そうなサービスなので、ぜひ弊社で取り組ませてくださいと申し上げました。

崎岡:

最初はtoB強そうな案が出てきたので、「ふざけすぎたら僕言うので、とりあえず限界ギリギリまでふざけてください」と(笑)。
そうしたらだいぶ遊び心のある案が上がってきて、良かったです。

飯田:

うちのデザイナーって今15-20人ぐらいいるんですけども、その中にはネコちゃんを飼っている人もいて、そこで話していたりして。

平野:

話しましたね。競合のアプリを使っている方がいて、なぜそれを使うのをやめたとか、こういう機能があったら嬉しいみたいなのをその方にヒアリングさせていただいたりしながら。その人が「CatsMe!」の時だけ、いつも真剣で。

UI/UXデザイナー・平野

崎岡:
特に平野さん自身が猫を飼っていなかったのも実は強みだと思っていて、客観視できることがすごく大事だと思っているんです。グローバルで展開していく中でバランスを取っていただいたのはすごく良かったです。

飯田:

ありがとうございます。実際にデザインを作ってプロダクトに良い影響を与えられた部分はありますか?

崎岡:

先ほど申し上げたような安心感だったり、ユーザー自身が楽しんでいるというのが、やっぱり見えましたね。明確に。

私たちのサービスに入ってきた時に、今までどちらかというと医療感が強かったんです。医療診断するぞ、みたいな。でも今は、飼育日記をつけているみたいで、その飼育日記にAIのインサイトも加わって、AIが見守ってくれているという安心感がある。ユニークな日記を書いている人も結構増えたりして、面白いです。ユーザーのマインドも徐々に変わってきたという感じです。

飯田:
なるほど。開くのが怖いというよりは、ポジティブな感じになりましたよね。

崎岡:

そうなんです。実は元々あったデザインのところで、「ティップス」って我々呼んでるんですけど、今日の一言的なことがあるんです。そこに、すごい医療的なサービスなのに、実は弊社のCTOが謎かけがめちゃくちゃ得意で、その謎かけを貼っていたんです。そうしたら、あまり評判が良くなかったんですよね。

でも、今のサービスの中で若干ふざけても、どちらかというと私たちとユーザーとのコミュニケーションという風に受け取られるんです。私たちがふざけているんじゃなくて、コミュニケーションをしているように見えるんです。

飯田:

それは素敵ですね。いい影響を与えられてよかったです。

崎岡:

本当に。プロダクトとしてすごく良くなりました。
せっかく作っていただいたんで、全世界に広めないと。

飯田:

ありがとうございます。今回実は実装をBubbleというノーコードツールでしているんですよね。そして実は平野さんがBubbleできるっていう。

崎岡:

はい、noteの記事を拝見して、そこでBubbleの話が出てて、「平野さん、Bubbleできるんですか」みたいな。

飯田:

なるほど。Bubbleについて、デザイナーが作るものと、エンジニアが作るものとで、何か違いはありましたか?

崎岡:

違いというよりも役割が明確に違うと思っています。Bubbleってノーコードなので、フルスタックの部分とコンポーネント的な部分の間にいると思っていて。バックエンドを作る作業とフロントエンドを作る作業が2軸に分かれているんです。
バックエンドの部分は弊社が担当すればいいんですが、フロントエンド側はデザイン思考のまま入った方が絶対いいと思っています。デザインから実装までの過程で変なプロセスが入らないので、一気通貫でできるのがすごくいいですね。

飯田:

それいいですよね。私も開発をやっている人間なので、デザイナーが出してきたデザインと開発が出したデザイン、一見同じに見えるんですけど。デザイナーの人からすると、「ピクセルがちょっと違う」とか「余白が違う」ってなんか間違い探しみたいになっちゃって。
平野さんは実際にBubbleで実装してみてどうでしたか?

平野:

そうですね、まずその経験というのがなかなかないので、楽しかったというのが一つあります。デザイナーが作ったものがそのまま反映されることってあまりないんですが、フロントエンドだともう100パーセント実現できると思っていて、そこは良かったですね。

飯田:
自分で作ったものを、自分のこだわりの通りに実装できるのはいいですよね。

崎岡:

本当にそれはすごく良かったですし、やっぱりスピーディなんですよね。1度インプットする時間がなく、 アウトプットしたものをそのままアウトプットし続けるだけなので断絶がないんですよ。

飯田:

そういう人材をたくさん育てます(笑)。
最後に、「CatsMe!」を通して、もしくは御社全体として、達成したい世界観を教えていただいてもよろしいですか?

崎岡:
私たちの企業のモットーとしては「医療の民主化」を掲げています。「医療の民主化」というのは、いつでもどこでも誰でも高度な医療にアクセスできるということです。でも、それをいきなり人間でやるのはハードルが高いんですね。まず猫で実現して、次は赤ちゃんで実現し、その次は高齢者で実現していく。そうやって医療全体のアップデートに貢献できればと思っています。

まずはその第一弾として、家族の一員でもある猫の医療を、そのワンステージ上げるというのをグローバルで実現できるプレイヤーになりたいと考えています。

そのために今後またデザインだったり、UXの実現方法だったり、コンサルチックな相談をさせていただければと思います。

飯田:
ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
それでは本日のインタビューは以上とさせていただきます。ありがとうございました!

一同
ありがとうございました!

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