【Figma Config 2025】サンフランシスコ現地レポート:AIに奪われないデザインの未来

こんにちは!UIUXデザイナーの瀧澤です。
今回は2025年5月6日から8日にかけてアメリカのサンフランシスコで行われていた、Figma Config 2025のレポートをいたします。
弊社の靜と2人で会社から派遣して頂き、セッションや交流を通してデザインを存分に吸収してきました!
去年の記事はこちら↓
世界最大級のデザインイベント、Config2024@San Franciscoに参加してきました! | エンジニアフォース
【Configとは】
世界で一番UIUXデザイナーに使用されているデザインツールのFigmaが主催するイベントです。Figmaの新機能が発表されたり、デザインに関わる著名な方々による講演が、いくつかのホールに分かれて行われます。

【セッション】
Configのメインイベントのセッションは7-8日の2日間にかけて3つのホールで行われました。
事前にConfigのマイページでセッションを予約する必要があり、入場する際にはQRコードが読み取られ、照合される形式になっています。

会場ではAIによる日本語テキスト翻訳が配信されるため、英語がわからない方でも参加できるようになっています。
会場のWi-Fiも強く、問題なく翻訳も閲覧できました!

初日一発目のKeynoteではFigmaの新機能が発表されます。今年は以下4つの新機能と1つアップデートが発表されました!
Figma新機能
◇ Figma Draw(一般提供開始)
Figma Draw: イラストとビジュアルデザイン向けクリエイティブツールFigma Drawは、イラストやビジュアルストーリーテリングのための柔軟なツールをデザイナーに提供し、すでに使い慣れたFwww.figma.com
ベクターを使った描画機能で、AdobeのIllustratorのような自由な筆さばきが可能に。
- 特徴:
- 新しい塗りとエフェクト(テクスチャ、ノイズ、パターン塗り、エクスプレッシブブラーなど)
- 強化されたベクター編集機能(投げ縄ツール、図形ツール、マルチ編集)
- パス上のテキスト配置や手描き風のブラシ機能
- 利用可能プラン: すべてのプラン
- 必要条件: 有料プランではフルシートが必要
- 対応製品: Figma Design(一部の描画ツールはFigma Slides、Sites、Buzzでも利用可能)
- 練習ファイル:https://www.figma.com/community/file/1484549117658754259
◇ Figma Buzz(β版)
Figma Buzz: ブランドに即したアセットを瞬時に作成・共有Figma Buzzを使用すると、ブランドに即したアセットの作成、管理、配布が容易になり、チームは一貫性を保ちながら迅速にwww.figma.com
チーム全体が広告やフライヤーなどブランドに基づいたアセットを簡単に作成できるような機能。
- 特徴:
- AIを活用した画像生成、背景削除、文章最適化機能を搭載。
- テンプレートを使用して効率的に素材を作成可能。
- 編集制限でより統一感のあるデザインへ
- 利用可能プラン: ベータ期間中は全ユーザーに無料提供
- 今後の提供: ベータ終了後はフル/Dev/コンテンツシート及び無料Starterプランに含まれる予定
◇ Figma Sites(β版)
次のウェブサイトのデザイン、プロトタイプの作成、公開をFigma SitesでFigma Sitesで次のウェブサイトをデザインし、プロトタイプを作成して、公開しましょう。共同ですばやくウェブ制作がでwww.figma.com
Fimga上でデザインからレスポンシブWebサイトの公開までを一貫して行えるツール。
- 特徴:
- 50種類のテンプレート、エフェクト(視差スクロールなど)をサポート。
- CMS機能は今年下旬に公開予定。
- 利用可能プラン: ベータ期間中はすべての有料プラン(Starterプラン向けの限定体験も近日提供予定)
- 必要条件: サイトファイルの編集・公開にはフルシートが必要。Dev/コラボ/閲覧シートではサイトファイルの閲覧のみ可能。

◇ Figma Make(β版)
Figma Make: Create with AI-Powered Design ToolsFigma Make empowers you to turn ideas into reality with AI-powww.figma.com
プロンプトに基づいてAIがUIを作成してくれるプロトタイピングツール。
- 特徴:
- ボタンや余白などコンポーネントごとにもAIで改善可能
- Figma SitesのようにサイトやWebアプリの公開も可能
- 画像からもデザインを作成できる
- 利用可能プラン: ベータ期間中はすべての有料プラン
- 必要条件: フルシートが必要
◇Grid(アップデート、β版)
オートレイアウトで画像のギャラリーや雑誌のような自由度の高いレイアウトも再現が容易に。
- 特徴:
- 複数行や列にまたがる配置が可能に
- 今まで何層にもネストしていた箇所が、ネストレスに
- CSSに基づいているのでコードとも相性がよい
- 利用可能プラン: すべてのプラン
- 必要条件: 有料プランではフルシートが必要
- 練習ファイル:https://www.figma.com/community/file/1484548529005244626
今年のアップデートはFigma DrawやGridというデザイナーの質を深化できるものと、Figma Make、Figma SitesやFigma Buzzというデザイナーとしての幅を広げてくれるものだったなと感じます。
デザイナーとしての境界が曖昧になる中、両軸で進化していく必要があると考えさせられる新機能でした。
トーク
トークセッションで私が特に印象に残ったのはAugmentalの共同創業者のCorten SingerとRocket & Equal AccessibilityのRyan Hudson-Peraltaの舌で操作するマウスの開発に関するセッションです。
-Augmental MouthPad^: redesigning the computer mouse-
サンフランシスコに拠点を置くスタートアップ、Augmentalの共同創業者のCourten Singerは、1960年代から基本的な設計が変わっていないコンピュータマウスに目を当て、「手が使えない場合はどうするのか?」という根本的な問いを投げかけています。
視線追跡や、脳波など様々な手法を試したのち、舌がベストな選択肢だと気づいた同氏は、何段階もの舌用マウスのプロトタイピングを重ねました。
そして最終的に舌でも自由自在に操作できるMouthPad^を完成させます。

何度もプロトタイピングを繰り返しながら最終的に製品を完成させ、それが障がいのある方にとって「MouthPad^ は自立だ」とまで言わしめるものになる。デザイナー冥利に尽きるだろうなと感じましたし、利用者であるRyanの嬉しそうな顔が印象的でした。
デザインが何のために存在しているのか、という原点に立ち戻らせてくれた素晴らしいセッションでした。
【世界のデザイナーとの交流】
セッションは勿論ですが、現地での交流もメインイベントと言えます!
世界中からデザイナーが集結するため、Youtubeで聴けるセッションにはあまり参加せず、交流をメインにしている方も沢山いるとのこと!
交流できる場所に関しても記載しておきます。
Config Commons
Config会期の初日の6日はセッションはなく、Config Commonsという交流イベントがありました。
この日には参加証のバッジも受け取れるのですが、受領後は皆ブースの列に並びながら前後になった人と会話する姿が多く見受けられました。



Community Events

Configの日程前後では様々なCommunity Eventが開催されます。
イベントの情報はConfig公式サイトに加え、イベントプラットフォームアプリの「Luma」や「Meet up」で探すことができます。人気のイベントはすぐに定員が一杯になり、募集が締め切られていました!

著名な企業や起業者の参加者が多数おり、
内部のデザイン話を聞かせていただく貴重な機会になりました。


日本人の方もみんなの前でレビューをされており、その勇気に感服しました。
別の方のレビューでは「文脈がわからない」とコメントがあり、
私も改めて意識しようと思った実りのある回でした。
Slack
オンラインでは会期中限定でSlackも立ち上がり、イベントへのお誘いから周辺のおすすめカフェなど様々なトピックでの会話が進行していました。
(参加するには、送られてくるメールからGoogleフォームに入力する必要がありました。)
【その他会場の様子】
上記では紹介できなかった会場の様子を紹介いたします!

会場では2日目からグッズ販売があり、こちらも列を作っていました。

Figmaの新しい機能の競合になるだろう会社もおり、洞察を聞くのは興味深かったです。

皆思い思いにInstagramのIDを書いていました笑

プロダクトと一貫したブランディングが素晴らしいです。

レトロな雰囲気が可愛いです!
【感じたこと】
今回Configに参加し、感じたことは大きく2つあります。

デザインの大衆化におけるデザイナーの役割
1つ目はデザインツールの進化がもたらす「デザインの大衆化」と、それに伴うデザイナーの役割変化です。
今回発表された新機能、特にFigma MakeやSitesにより、ウェブサイトの作成やプロトタイピングなど、これまで専門的なスキルが必要とされていた工程がより簡単に扱えるようになりました。それによりデザインの大衆化が進み、デザイナーと非デザイナーの境界がますます曖昧になりつつあります。
しかし、こうした変化はデザイナーが本質的な価値を発揮する絶好の機会だと感じています。
現地のデザイナーとも話しましたが、ツールを操作するという表面的な大衆スキルよりも、AIが思いつかないぐらいユーザーを深く理解するリサーチ能力、そして共感に基づいて複雑な問題を整理し、解決策を講じる力など、本質に向き合う力がこれからのデザイナーにとってより重要視されていくでしょう。

いかに感情を揺さぶるか
2つ目は、「感情を揺さぶること」の重要性です。
セッションを振り返ると、記憶に強く残るのは話し手の情熱が乗った内容やストーリーテリング、緊張感を和らげる絶妙なユーモアでした。
上述の、舌で操作するマウスが障害のある方の生活の自立性を高めたり、別のセッションでの無機質なロボットへ人々が愛着を見出す話では人々が拍手をしたり、写真を撮ったり、会場では感情が動いている瞬間をひしひしと感じることができました。
AIが構成やスライド作成などを効率化する時代になっても、聴衆の感情を揺さぶる力は依然として人間の領域です。
機能性や効率を追求する一方で、最終的にユーザーの心を掴むのは、その背後にある人間らしさと感情への理解なのだと、再認識しました。
【その他デザインinアメリカ】
その他にもアメリカで見つけたデザインを少し紹介します!
トイレのピクトグラム

美術館SF MoMAでのトイレを表すピクトグラム。直接的だなと思いましたが、調べてみたところジェンダーレストイレの表現とのこと。
確かに性別や服装に囚われない表現として、従来の人型のものよりは中立感は出ていて興味深いです。
Waymo
噂の無人タクシーWaymoに乗車できました!
アプリでの呼び出しから乗車中、降車まで何のストレスもなく本当に素晴らしかったです。
運転席には誰もおらずハンドルだけが回っていましたが、何も心配せずUI撮影に専念することができました笑

UIは全体的に無彩色ですが、丸々しい形や薄いブルーグレーで無機質になりすぎない、柔らかいイメージに昇華しています

稚拙な文章となりましたが最後までお読みいただきありがとうございます。これからもツールの進化やAIの波に柔軟に対応しつつ、本質を見失わないデザインを心がけます。
そして、得られた学びをチームにも還元しながら、組織全体のさらなる発展に貢献していきます!
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