約7割が「課題が不明確なまま」AI導入を推進!企業の現場が直面するAI活用の実態を調査

約7割が「課題が不明確なまま」AI導入を推進!企業の現場が直面するAI活用の実態を調査

企業のAI・生成AI導入が急速に広がる中、「何のためにAIを使うのか」が曖昧なまま導入が進むケースが増えています。

「経営層の号令でAI導入が決まったものの、具体的な活用方針は現場任せだった」「まずAIを入れることが優先され、解決すべき業務課題が整理されていなかった」など、AI導入に携わるビジネスパーソンの間で、こうした声は決して珍しいものではありません。

株式会社Engineerforce(エンジニアフォース)(https://engineerforce.io/)は、企業でAI・生成AIの導入に関わるビジネスパーソン217名を対象に「業務におけるAI導入・活用の実態調査」を実施しました。

調査の結果、具体的な業務課題を設定したうえでAIを導入した企業はわずか約3割にとどまり、約7割は課題が不明確なまま導入を進めていたことがわかりました。

そこで本記事では、この調査データをもとに、AI導入における「課題の明確さ」と「成果」の関係、現場が感じている”目的化”の実態、そして今後求められる支援の方向性までを詳しくお伝えします。

自社のAI導入・活用の進め方を見直す際の判断材料としてご活用ください。

【調査概要】

  • 調査対象:企業・組織でAIや生成AIの導入・活用に関わっている方217名
  • 調査方法:インターネットアンケート調査
  • 実施期間:2026年10月7日~2026年10月13日

【調査概要】企業のAI導入・活用の実態

エンジニアフォースでは、企業におけるAI・生成AIの導入実態を明らかにするため、導入に関わるビジネスパーソン217名を対象にインターネット調査を実施しました。

調査概要

回答者の属性を見ると、「全社的に導入」(34.1%)と「一部の部署で導入」(32.3%)が上位を占め、全体の約66%が組織的にAIを活用している状況です。

立場としては「現場担当者」が47.5%と最多で、推進側(DX・AI推進担当者・情報システム・IT担当者)から経営層まで幅広い層の声が集まっています。

AI導入前の課題設定の明確さで「期待未達率」に大きな差が見られる

具体的な業務課題を設定してから導入した企業はわずか28.1%

AI導入前にどの程度まで業務課題を明確にしていたかを聞いたところ、具体的な業務課題を設定していた企業は全体のわずか28.1%にとどまり、約7割の企業は課題が不明確なまま導入を進めていたことになります。

具体的な業務課題を設定してから導入した企業はわずか28.1%

最も多かったのは「大まかな目的はあったが、対象業務までは決まっていなかった」で37.8%です。数値目標まで設定していた企業はわずか2.8%にとどまり、業務課題が具体的だった企業を含めても28.1%という結果でした。

一方、「AI導入を先に決め、その後に活用方法を検討した」と「明確な業務課題や目的は決まっていなかった」がそれぞれ15.7%を占めており、合計すると31.4%がAI導入の目的自体が不明確な状態でスタートしていたことがわかります。

自由記述では、導入後に課題設定の重要性を痛感したという「振り返り」の声が複数寄せられています。

導入後に課題設定の重要性を痛感したという「振り返り」の声

いずれの声にも共通しているのは、「導入後」ではなく「導入前」の段階で課題設定を行うべきだったという後悔です。課題設定の有無が、現場の活用定着を左右する重要な分岐点であったことが読み取れます。

課題設定が明確な企業の期待未達率は27.9%、不明確な企業は63.3%

導入前の課題設定の明確度別に成果の実感度を深掘りしたところ、課題設定が明確だった企業(明確群)の72.1%が「成果を十分以上に得られている」と回答したのに対し、不明確だった企業(不明確群)ではわずか34.0%にとどまりました。

期待未達率で見ても、明確群の27.9%に対して不明確群は63.3%と、2倍以上の差が生じています。

課題設定の段階成果を十分に得られている期待未達率
数値目標まで具体的に決まっていた(n=6)83.3%16.7%
業務課題は具体的に決まっていた(n=55)70.9%29.1%
大まかな目的はあったが対象業務は決まっていなかった(n=82)35.4%63.4%
明確な課題は決まっていなかった(n=34)41.2%52.9%
AI導入を先に決め、その後に活用方法を検討した(n=34)23.5%73.5%
※明確群(n=61)は「数値目標まで具体的に決まっていた」「業務課題は具体的に決まっていた」、不明確群(n=150)はそれ以外の3つの回答の合計
※「分からない」(n=6)は除外

「AI導入を先に決めた」層の期待未達率は73.5%と全体の中でも最も高く、「業務課題が具体的だった層」の29.1%と比較すると約2.5倍の差が生じています。

また「明確な課題なし」の層は、「ほとんど成果を得られていない」(20.6%)と「まったく得られていない」(5.9%)を合わせた26.5%は、「AI導入を先に決めた」層の8.8%、「業務課題は具体的に決まっていた」層の1.8%を大きく上回っており、成果の二極化が最も顕著です。

この結果から、AI導入の成果は、導入前にどこまで業務課題を具体化できていたかという準備段階の質と強く関係していることがうかがえます。

半数超が「AIを使うこと自体が優先されている」と回答

「AIを使うこと自体が優先されている」と感じたことがあるかを聞いたところ、「頻繁に感じる」と「ときどき感じる」を合わせて53.5%が”目的化”を経験していることがわかりました。

半数超が「AIを使うこと自体が優先されている」と回答

半数を超える回答者が「AIを使うことそのものが目的になっている」と感じた経験を持っています。前項で示した「約7割が課題不明確なまま導入」というデータと合わせると、課題設定が曖昧なまま導入を進めた結果、「何のためにAIを使うのか」という問いが現場に残り続けている構図が浮かび上がります。

自由記述でも次のような声が寄せられており、目的化が本来の課題解決を妨げ、現場の生産性低下にまで波及している実態がうかがえます。

目的化に関する声

「まずAIを使う前提で施策が始まったとき」が最多

目的化を感じた具体的な場面として最も多かったのは、「まずAIを使うという前提で施策や業務改善の検討が始まったとき」で、目的化を感じた人の51.7%が選択しています。

「まずAIを使う前提で施策が始まったとき」が最多
※n=116

目的化を感じた人の過半数で「業務改善の検討」ではなく「AIの活用」が起点になっているという結果は、AI導入が「課題→解決手段」ではなく「手段→課題探し」の順序で進んでいるケースが常態化しつつあることを示しています。

1位に続く2位の「具体的な目標が決まっていなかったとき」(34.5%)、3位の「AIで解決する必要がない業務にも利用を求められたとき」(24.1%)も含め、上位3項目はいずれも「課題の不在」もしくは「手段の先行」に起因する場面です。

目的化の背景には、AI導入の意思決定段階で「何を解決するか」よりも「AIを使うこと」が優先されている構造的な問題が存在しています。

目的化を最も感じているのは「DX推進担当者」

立場別に「目的化を感じている」割合を分析したところ、「DX・AI推進担当者」の96.6%が目的化を感じているのに対し、「経営者・役員」は36.4%にとどまるという約60ポイントのギャップが確認されました。

立場頻繁に感じるときどき感じる目的化を「感じる」合計
DX・AI推進担当者(n=29)3.4%93.1%96.6%
情報システム・IT担当者(n=31)19.4%45.2%64.5%
新規事業・事業企画担当者(n=12)8.3%50.0%58.3%
AIを実際の業務で利用している現場担当者(n=103)6.8%36.9%43.7%
部門責任者・マネージャー(n=19)15.8%26.3%42.1%
経営者・役員(n=11)0.0%36.4%36.4%
※AI導入における立場で「その他」と回答した方(n=12)を除く

AI導入を推進する立場であるDX推進担当者がほぼ全員「目的化」を感じているのは注目すべき結果です。推進する立場だからこそ、「経営層からの号令」と「現場の業務課題」の間に立ち、目的と手段のずれを最も強く認識していると考えられます。

一方、経営者・役員は「目的化を感じる」が36.4%と最も低く、「あまり感じない」(45.5%)と「まったく感じない」(18.2%)で過半数を占めています。この結果は、AI導入の方針を決定する経営層と、実行を担う推進担当者の間で「目的化に対する認識の温度差」が生じていることを示しています。

自由記述でも「経営層からChatGPTを使うよう言われたが、経営側はどうやって活用するかそもそもわかっていないので、現場に丸投げ状態だった」という声が見られ、経営層と推進担当者・現場をつなぐ対話や目的の共有が不十分なまま導入が進んでいる実態が裏付けられています。

AI導入の成果、半数超が「期待に届いていない」と回答

AI導入によって期待していた成果が得られているかを聞いたところ、「期待に届いていない」と回答した層は53.5%と半数を超えました。

AI導入の成果、半数超が「期待に届いていない」と回答

「一定の成果は得られているが期待には届いていない」が47.5%と最多を占め、「ほとんど」「まったく」得られていないと合わせると53.5%が期待未達です。一方、「十分に得られている」(36.4%)と「期待以上」(8.3%)を合わせた44.7%は成果を実感しており、成果の有無は企業によって明確に分かれています。

前項までの分析で示したとおり、この差には「導入前の課題設定の明確さ」が大きく関係しています。

課題が明確だった企業の72.1%が成果を実感する一方、不明確だった企業では34.0%にとどまっています。

現場が直面する課題は「人材・スキル不足」と「正確性確認の負担」

AI導入後に直面している課題を聞いたところ、「AI活用を推進できる人材やスキルが不足している」と「AIから得られた回答の正確性・品質を確認する負担が大きい」がともに32.7%で同率1位となりました。

現場が直面する課題は「人材・スキル不足」と「正確性確認の負担」

自由記述でも、「AIの回答の正確性を確認する手間が想定より大きかった。導入前に、どこまで人が確認するかや確認手順を決めておけばよかった」という声が寄せられています。

AIを導入しても、その出力を「誰が、どの基準で、どのように確認するのか」が設計されていなければ、かえって現場の負担が増えてしまいます。

上位6項目のうち「KPIが曖昧」(28.6%)「利用場面が不明確」(26.3%)「業務フローに組み込めない」(25.8%)の3つは、導入前の業務設計の段階で対処できるものであり、導入後の運用改善だけでは根本的な解決が難しい課題が上位を占めていることがわかります。

課題設定が不明確な層では「利用場面が不明確」「業務への組み込み」にも課題

課題設定の明確度別に直面する課題を比較すると、不明確群では「利用場面が不明確」が33.3%と、明確群(8.2%)の約4倍にのぼるなど、顕著な差が現れました。

直面する課題明確群(n=61)不明確群(n=150)
AIを活用する業務や利用場面が明確になっていない8.2%33.3%
AIを既存の業務フローや社内システムにうまく組み込めていない14.8%31.3%
AI導入の目標・KPIが曖昧で、効果測定が不十分21.3%32.7%
AI活用を推進できる人材やスキルが不足している27.9%36.0%
AIから得られた回答の正確性確認の負担が大きい31.1%34.7%
※選択肢「特に課題は感じていない」「その他」は表示を省略

注目すべきは、課題の種類によって明確群と不明確群の差が大きく異なる点です。「利用場面が不明確」は約4倍(8.2%→33.3%)、「業務フローに組み込めない」は約2倍(14.8%→31.3%)と大きな差がある一方、「正確性確認の負担」は31.1%と34.7%でほぼ同水準です。

さらに不明確群の内訳を見ると、「対象業務までは決まっていなかった」層では「業務フローへの組み込み」が37.8%と全カテゴリ中で最も高く、導入前に対象業務を具体化できていなかった層ほど、導入後に「業務へ組み込めない」という課題を感じる割合が高い傾向がみられます。

この結果は、「正確性確認」や「人材不足」は、AIを使う以上どの企業にも共通する運用課題であるのに対し、「利用場面が不明確」「業務に組み込めない」は導入前の課題設計の不足に起因する構造的な課題であり、導入後の運用改善だけでは解消しにくいことを示しています。

求められる支援は「AI研修・教育」と「課題の明確化」

AI活用を定着させるために今後どのような支援や取り組みが必要だと思うかを聞いたところ、最も多かったのは「社員向けのAI研修・教育を実施すること」(43.8%)で、次いで「AI導入前に解決する業務課題を明確にすること」(42.4%)がほぼ同率で並びました。

求められる支援は「AI研修・教育」と「課題の明確化」

上位5項目はいずれも30%を超え、教育・課題設計・ルール整備・ツール選定・業務フロー設計と、導入前から運用定着まで幅広い段階で支援が必要とされています。

中でも、2位「課題の明確化」(42.4%)に加え、「業務フローの設計」(30.9%)や「KPI設定」(27.2%)など、導入前の計画・設計に関わる項目が複数上位に入っている点は重要です。

本調査で繰り返し確認された「課題設定の不明確さが成果や運用に影響を与える」という構造を、現場の担当者自身も認識し、改善を求めている結果といえます。

【まとめ】AI導入で成果を出すカギは「使うこと」ではなく「課題の明確化」にある

本調査では、AI導入済み企業の約7割は、課題設定が不明確なまま導入を進めていた実態が明らかになりました。

半数超がAI導入の目的化を感じており、課題設定が不明確だった企業では成果実感が大きく低下する傾向も確認されています。一方、導入前に業務課題を具体化していた企業の7割超が「十分な成果」を得ており、成果を左右するのは「AIを導入したかどうか」ではなく「何を解決するかを明確にしたうえで導入したかどうか」です。

現場が求める支援としても「課題の明確化」は上位に挙がっており、AI活用を成果につなげるためには、AIありきではなく「自社の業務課題を特定し、AIの適用領域を見極める」というプロセスが欠かせません。

「AIを導入したが、何に使うべきかが定まらない」「業務フローにうまく組み込めない」という課題を抱える企業には、課題の特定から設計・開発まで一気通貫で伴走するパートナーの活用が有効です。

エンジニアフォースでは、「AIを使うこと」が目的化しない、実用価値にこだわったAI開発支援を提供しています。

ユーザーヒアリングや業務分析を通じて本質的な課題とAI適用領域を明確にし、PoCから本番構築・運用改善まで伴走します。AI導入・活用にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

■会社概要

会社名株式会社Engineerforce(エンジニアフォース)
代表者代表取締役 飯田 佳明
所在地〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町23番17号 シティコート桜丘408
設立2020年8月4日
資本金1,000万円
事業内容ソフトウェア開発、UI/UXデザイン、コンサルティング、プロダクト開発
URLhttps://engineerforce.io/

■本アンケートの引用について

本アンケート結果を引用する場合は、必ず「株式会社Engineerforce」の明記と本記事URL(https://engineerforce.io/)の記載をお願いします。